「お金の大学(リベラルアーツ大学)」がベストセラーになりましたが、
それがきっけで「投資」についてはじめて学んだんですが、
「林業って、もっと投資の勉強した方がいいじゃない?!」
という気づきがありました。
もちろん、投資についてはまだまだ素人ですが、カマドなりの気づきがあったので、
今回はその辺りを少し綴りたいと思います。
投資とは?
資産を形成させる手法の一つですが、投資は貯蓄と違い、中長期の目線で資産を増加させることを目的とした手法だと思います。
投資対象には、株、債券、不動産などがあり、
どの商品をいつ、いくらで、どのくらい保有するか。
将来の予測は誰もできないので、長期に保有しながら銘柄の分散をし、リスクを分散しようというもの。
もちろん、ハイリターンを求めるならリスクの高い投資が求められ、
リスクが取れないのであればリターンも低い、というのは投資の世界では当たり前の話しのようですね。
つまり、
「どこまでリスクを取れるのか?」
ここが投資の難しさであり、面白いところ、
なんだろうなと感じています。
集中投資した森林造成
林業に置き換えてみます。
戦後、多くの森林は国土保全と木材需要に向け、一斉に植林し育ててきました。
「復興」という強力なパワーの甲斐があって、ここまで豊かな森林を造成できたのでしょう。
我が国の国土の67%が森林で、その面積は約2500万ヘクタール。
そのうち、人工林が約1000万ヘクタールですので、
森林の約4割は人工林ということになります。
ここで大切なことは、その4割の人工林の樹種構成です。
なんと、スギ・ヒノキだけで全人工林の4割近くを占めています。
戦後から育ててきたそれら人工林は今、50年〜60年くらいをピークにして収穫期を迎えています。
したがって、木材の市場はスギとヒノキばかりになります。
ということは、
市場原理からして、木材の価格は低下する。
考えてみれば当然の話です。
では、
なぜ全国津々浦々、一斉に同じ樹種を植えたんでしょう?
カマドなりの分析をすると、
- 林業が定着していない時代だったため、地域毎で育てる技術がなかった。
- 住宅需要を中心に、スギ、ヒノキの使途目的が明確に設定できた。
- 国土保全と称し、「森林造成」を急ぎ過ぎた。
などが考えられます。
思考停止させる「補助金」
収穫期を迎えた森林は今、広範囲で皆伐作業を中心に伐採が進められています。
山村は高齢化とともに後継者不在ですから、木を伐ってもまた植えて育てようという体力は残っていないわけです。
このままでは禿山だらけになり、戦後のような荒廃した国土になりかねないと、
林野庁は、もう一度植えて育てよう!
と号令を出しています。
それを再造林率として示してますが、現在、どの地域も概ね30%といわれています。
そうです。ほかの70パーセントは放棄林ってことです。
さらにさらに、その再造林した30パーセントの樹種構成も
やっぱりスギとヒノキばかり。
戦後から培った技術、あるいはその地域で確立した木材のマーケットを鑑みると、
「同じものをもう一回育てる」
ことに否定はしません。否定はしませんが、
「もう少し考えませんか?」
「ひと手間を掛けましょう!」
がカマドの口癖です!
この先何十年と育てる樹種を、なぜ簡単に選択できるのか?
一つに、
補助金が原因だと考えてます。
森林組合に植林をお願いすると、概ね1ヘクタール100万円掛かります。
高いのか安いのか、それぞれの考え方がありますが、
今、植林に100万掛ける人はいません!
国や県は、そこに「造林補助金」を当て、森林所有者の負担を軽減し、森林・林業の振興を図ろうと考えているわけです。
もちろん、すごく有難い話しです。
有難い話しなんですが、あまりにも有難過ぎて、
「安易に考え過ぎ」
状態を生んでしまっていると言わざるを得ません。
そして結果的に負の連鎖をつくってしまっている。
補助金によってローリスクに取り、
結果、将来のリターンも見込めない(だろう)。
林業が成長産業としてなかなか発展できない原因の大事なポイントだと思っています。
まとめ(リスクを分散しよう)
ではどうしたら良いか。
カマドがいつも提案しているのは、
- 収穫期を迎えた森林を保有している場合、伐採する時期を分散させる。
- 良質な木材が獲れる森林を長期に保有して、その他は経営としての適格を見極める。
- 植林する際は、1ヘクタールを目安にして、一斉に造成しない。
- 適地適木を意識しながら、樹種と植林する時期を分散させる。
- 成績が不良な場合は直ちに経営方針を切り替える。
です。森林に関わりのなかった方からすれば信じられないようなことが、
いまだに森林・林業の世界ではあります。
何世代にもわたって森林を見守るわけですから、自分の代で慌てて結論を出さなくていいんですよ。
慌てないでゆっくりじっくり。
投資を学びながら、林業経営のあり方をあらためて学んでいます。
今後もカマドはそんなお手伝いをさせて頂きます!
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