今回、仲間の会社「合同会社Yew Village」が簡易製材機「Wood Mizer」を導入し、設置が完了したとのことで見学に行った来た。
ところでWoodMizerって何?ってことだが、京都の南丹市にある「美山里山舎」が輸入代理店を行う、今話題のアメリカ産の製材機だ。ちなみに、この代理店さんは、我が家に設置した薪ストーブ「パナデロ」も取り扱う会社だ。
仲間と日頃、林業のあり方や森林のあるべき姿、みたいなものを悶々と考えていた。その時にこの会社のことを知った。
「よし、行ってみよう」ということで、昨年夏に仲間と車でお邪魔してきた。
実践者にめぐり逢う
到着するやいなや、今まで悶々としていたものが一気に吹き飛んだ!
僕たちが目指していたものが既にそこにあったのだ。
プロの大工でもある代表の方が、自ら手刻みで造ったというゲストハウス。作業小屋には製材機が置かれ、裏山には所有林が広がっている。きれいに整備されたその森林から、いつでもすぐに木を伐り出し製材できるという、なんて贅沢な環境。
「この人、何者?」
しかも、たった数年で築いたというから驚異的だ。
必要な分を自分で伐って、余すことなく使い切る。増してやプロの大工の目。曲がりや癖のある丸太が家のどの箇所に使えるか、いや活かせるかを熟知している。
「これだ!」
疑いようのない光景に、ただただ感銘を受けたことを思い出す。
代表の方から「やるのか、やらないのか」と、刺さるお言葉を受け、
「やります!」と答えたのが事のはじまりだった。
木の魅力を引き出す
製材せずに丸太のまま使うログハウスのような例もあるが、加工性とその自由度が木の持つ大きな魅力の一つだと思う。製材はその幅を広げる重要な役割となる。
そして、様々な表情をみせる「杢目」。飽きないどころか愛着さえ湧いてくる。”杢目オタク”も存在する程だ。
例えば、以前に秋田の能代市に伺った時のもの。
能代といえば天然の「秋田杉」。
伝統ある銘木店が並ぶなか、「伐根製材」をやっている所にお邪魔した時のこと。
根の張り「ハカマ」のところを製材すると、「根杢」と呼ばれる独特な縮みが現れる。
これを格天井(ごうてんじょう)に使う。
こんな文化を育んだ製材は、本当に深くて面白い。
無駄なく、有効に
ある日、丸太を処分してほしいという問い合わせがあった。
現地をみると、大型トラック何台分にもなるその量に驚く。
皮細工職人が皮だけ剥いで、残ったものはいらないから処分してほしいという内容だった。
運ぶためにか約1mに玉切りしてあり、トラックを向けるにしても短すぎて運べない。
この量を運ぶには、グラップルの付いた深ダンプでないと対応し難い。
そもそも、どう運ぶ?の前に、
薪にするか、チップにするか、の2択しかないのか?
運賃は?売上は?最悪、経費がゼロになればいいとか。
いつもの葛藤。。。「面白くない」。
薄利多売な「現代林業」の枠では、いつもこんな勘定しかできなかった。
こんな簡易製材機があれば、捨てるものも宝に変えることができる。
製材所に持ち込んでも相手にしてもらえるかわからない。
市場で丸太を売ろうにも、一般的に2.3mの直材で、太さは24cm以上じゃないとなかなか売れない。
曲がりや節などの欠点があるものは、いくら年数の経った太い丸太でも、今まで迷うことなく「チップ材」にしてきた。
この積まれた広葉樹の中にも、太くて勿体ないものがたくさんある。選び出してうまく利用できれば、こんな素晴らしいことはない。
川上から川下?
よく行政が使いそうな「川上、川下」ってフレーズがあまり好きではないが、
敢えて表現するならば、
Kama土カンパニーは川上側、仲間のYewVillageは川下側になる。
私が山から丸太を運びだし、仲間がそれをリノベや薪に使う。
その中間を繋ぐのがこの「製材機」になる。
町の製材工場が少なくなっている。青森県内では、確かピーク時の1/3?になったとか。
それはつまり、山と町と繋ぐものが失われた、ということだ。
ちなみに、製材所の設備を移設しようとすると、なんだかんだと”何千万”単位の費用が掛かるそうだ。
それに比べたらこの簡易製材機は桁が一つ違うぐらいだから、考えようによってはお手頃だ。
注文から納期まで1年は掛かるとされる大注目のWoodMizer。
最近では大工・工務店が購入し、自分たちで思い通りの製材品をつくり出すところが増えているそうだ。
きっと、そういった方々はいずれ森林を所有して、自分たちで丸太から調達し出すだろう。
もうね、林業界だけが林業やってる時代じゃないよね。
自分も職場にある「眠った製材機」を叩き起こして、人に繋ぎ、森を育む取り組みをやっていくぞー!オー!
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