ホームセンターで売っている薪って高いのか安いのか・・・。
あるいは、
薪ストーブユーザーでいつも薪を購入している方。
薪の価格の基準ってなに?って思いませんか?
市販している他社と価格を比べるしかありませんが、
林業界で日常的に取り扱っている木材の基本的な計算方法を知っておいた方が、
知らないよりは得するはずですので、
ここでは立木から薪までの測り方、価格の付け方について解説していきます。
立木幹材積の計算方法
立木の状態で、その木がどのくらいの幹材積があるか。
枝や葉入れずに、伐倒した後に丸太になった時の量です。
計算式はかなり難しいです。カマドもよくわかりません(苦)。
log V=-4.326722+1.726305 log d+1.227196 log h
(V:幹材積、d:胸高直径、h:樹高)
ともかく、胸高直径と樹高から計算されることがわかります。
また、林野庁が「立木幹材積表」というものが発行されているので、
そちらも参考できます。
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この立木幹材積表には、都道府県、樹種、樹高、直径毎の幹材積表が記載されています。
マニアックでほとんど使用することはないと思いますが、参考までに。
皆伐や間伐を行う際、
この森林からどのくらい丸太が出てくるか。
出てきた丸太の売上はどのくらいになるか。
プロの林業の世界では、立木の状態でも見積します。
ざっとこういう感じになります。
伐採から販売までを森林組合などにお願いするときは、
伐り・出し・運搬と3つの作業区分で、それぞれm3当たり(石)の単価が地域によってあります。
この辺りの説明はまた今度にしましょう。
丸太材積の計算方法
立木の状態から伐採し、所定の長さにした状態の丸太材積の計算方法です。
計算方法は種々ありますが、
JAS(日本農林規格)の規定にある「末口二乗法」という方法が一般的です。
【6m未満の場合】
丸太材積=末口直径×末口直径×長さ
末口:丸太の細い側、直径は最小径となる箇所)
【6m以上の場合】
丸太材積=(末口直径+(長さ´ー4)/2)×長さ
長さ´:m未満を切り捨てた長さ
の2通りとなります。
計測する際気をつけたいのは、樹皮を除いた箇所を最小径になるように測ることです。
最大径で計測すると材積を過大評価することになるので要注意です。
最近、はい積みされた丸太をスマホで撮影するだけでAIが自動検収するなんてものが出てきました。
精度の問題がありますが、「今どのくらいあるか?」を瞬時に捉えることができるのはいいですね。
重量換算する場合
以上まで、樹高や胸高直径、あるいは木口の直径を測って計算する方法でした。
その他、細い材や曲がりなどの欠点材は、製紙工場やバイオマス発電所に運びチップにします。
こういった材は、いちいち木口を測ったりせず、車両重量計(カンカン)で丸太の重さを測り、その数値で取引が行われています。
しかし、林業の世界ではほとんどm3単価で取引きが行われているため、
重量⇒体積に換算しなければなりません。
そこで、チップ会社毎で係数を設けているんですが、
例えば、
広葉樹 係数0.67 11,000円/m3
針葉樹 係数0.77 7,000円/m3
と設定しているチップ会社があったとします。
そこに、広葉樹丸太を満載した大型トラックがカンカンで計量すると、
仮に20tonだったとします。
20ton×0.67=13.4m3
13.4m3×11,000円=147,400円
これが大型車1台あたりの広葉樹チップ材の売上。
っていうことになります。
あくまで売上の基準は重量です。
伐採直後、木材は水分や養分がたくさん含まれてますので、フレッシュなうちに販売先に持っていきたい。これが林業界でチップ材を取り扱う際の重要なポイントです。
ちなみに、乾燥具体で取引が決まる木質バイオマスの世界では、重量にそのまま単価をかけるケースもあります。
薪の場合
薪の単位のひとつとして、1束 が使われます。
70cmの長さのヒモ(番線など)に薪を詰め込んだものが1束。
直径にして22cmです。
ということで、市販されている薪がおいくらするものなのか、
楽天で検索してみました。
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通販では、ダンボールに薪を詰めて、「◯◯kg」で販売しているケースが多いようですね。
一方、1束の場合、重さは4〜5kgと説明があります。
薪は樹種や乾燥具合によって重量が全く変わってくるし、
割った薪の体積って、積み方にもよるし、なんともザクっとしているし。
細かな計算はここまで来ると難しいと言わざるを得ません。
ちなみに経験則を踏まえて、
カマドが販売する薪の計算は、ざっとこんな感じです。
- 丸太を販売する場合は、チップ会社基準の価格+運賃・手数料
- 割薪の場合、丸太価格の2倍+運搬・手数料
- 軽トラのアオリ一杯に丸太を積むと径にもよりますが、おおよそ0.5m3。
- その丸太を割ると、体積がおよそ1.3〜1.5倍に膨らむ。
となります。
割薪は、割る手間、乾燥に要する期間もサービス代として含まれます。
カマドはわかりやすく、
軽トラのアオリ1杯で、針葉樹、広葉樹それぞれいくらですよ!
としています。
これはすべて、チップ会社の価格を基準に算出している!
ということになります。
まとめ
林業の現場では、立木を伐採すると必ずチップ材が出てきます。
木材の売上を伸ばすためには、チップの出材をいかに減らすかが一つの経営のポイントになります。
ですので、森林組合や業者さんに問い合わせ見て、
チップ価格より少しでも高く買うことができれば、
比較的容易に原木丸太が手に入ると思います。
もちろん、チェンソーや防具類が必要になりますが、薪づくりは体づくり!
知り合いで薪をつくり続けて、気づいたらマッチョになっていた!
なんて話しもあります。
健康も手に入るライフワークなんて、一石二鳥!
カマドはそんな仲間を募集しています!
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