林業でやりたいこと・今年の目標

森のこと

 約50人ほどで構成する「共有林」の代表の方に今後の森林管理について相談を受けた。

話の内容は、所有する森林の面積が大きく、また代表ともう一人を残して、メンバーのほとんどが代替わりをしたこと。ほぼ全員が森林の境界はもとより、どこにあるのかさえわからない状態だそうだ。

加えて、その共有林は「生産組合」として法人化しており、今まで一度も収入を得たことがないまま、法人税と固定資産税を払い続けてきたという。この業界に携わって十数年経つが、当初から感じていたことがここ最近更に進行しているな!と感じる。

 今回は「林業」において今までやりたかったこと、イメージしたまま着手できないでいたことなどを今一度整理して、今年は何としても実現していきたい。

テーマは「森林と暮らし」

森林情報をシステム化する

 「森林GIS(森林情報管理システム)」は既に10年前から導入している。これは、森林簿や森林基本計画図などの情報をデジタル化して、それぞれ個別管理されていたものを一元管理するというシステムだ。ただし、この情報はあくまで一次情報の集約であって、実際の森林の情報を把握するには物足りなかった。

そこで昨年ドローンを導入したのだが、これがただ画像を撮影するだけのものではない。ドローンで得た画像データから樹高点を抽出し、森林内にある樹木の本数や材積量が算出できるものだ。

課題は、実測値とどれだけ整合性が取れているか?この確認作業がまだできていなかった。これを今月から再開する。

これにより、従来は図面と睨めっこしながら森林内を歩き、必要に応じて樹木を1本1本測ってきたものが、ドローンを数分飛行させるだけで計測できる。大幅な効率を図ることができるのだ。もう一つの狙いは、後継者等に対して森林の情報を3次元にわかりやすくお伝えできること。更に、道や河などを境にして、森林を纏まりのある面的な捉え方をすることによって、今後より効率的な管理ができるようになるという訳だ。

同時に森林所有者の意向も集積して、「譲りたい人」と「取得したい人」とのマッチングも容易になる。これを今年取り掛かる。

 ちなみに、既に3~4か所ほどエリアを選定してある。いきなりすべての森林を対象にはできないので、選択と集中をしていきたい。

魅力ある職場づくり

 林業の現場は単調な作業の連続になり易い。植林や下刈、間伐といったそれぞれの作業は、毎日の繰り返しのなかで、「飽き」とか「惰性」とか、なかなか自発的なエネルギーが発せられない状況に陥りやすい。

 「やりがい」っていう一言で片づけるにはそうそう簡単なことではない。私自身が自ら率先して、リーダーとして関わる人達のモチベーションを上げていきたいと考えている。

そして一番は学ぶこと。林業を「経験」や「勘」だけに頼ることなく、技術を共有(最初は強要)していきたい。「科学的な視点をもて」は速水林業の代表者のお言葉。また、やった仕事の価値を「見える化」することも大事だ。具体的にどう提示していくか思案中だが、みんなが納得できる「やる気」スイッチを考えている。

 目指すところは「あそこで働きたい」と思ってもらえる、そんな職場をつくることだ。

暮らしに繋ぐ

 森林の情報と働き手の充実を図りながら、日々の暮らしにどうやって「林業」を浸透させていけるかも課題だと考えている。薪や無垢材の利用、日常的な所有林管理など、我々が日々やっている仕事がいかに地域の暮らしと結びついているか、あるいはそれを双方が実感できる何かがないか、漠然と考えている。

 そんななか、昨年「薪まつり」を初開催した。薪に関する情報はもちろん、火を基軸とした食やエネルギーを体感できる祭り。これが元々のコンセプトだった。いろいろあって、言い出した本人の私は直接携わらなかったので、今年から思い描いていたことを実行する。「林業」とは直接的ではないが、今年は走りながらその「何か」を掴みたい。

 今後も「林業」や「木材」の持つ魅力を発信していきたい。そのためには、今年立てた目標を必ず実現する。

(ちなみにアイキャッチ画像は、ある老夫婦が5年掛けて、人力で地拵えした森林)

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