薪ビジネスを考える・視察報告

 本日、隣県・岩手で「業務用の薪生産のコツ」と題した視察会があったので、それに参加してきた。

一回りと二回り年下の若い者と一緒に行ってきた。世代の違う付き合いは刺激があってとても良い。


 「今日は薪の勉強」と、頭がそんなモードだったので、道中のこんな光景にすぐに目を奪われた。

広げて乾燥

 土場にパレットを敷き、その上に薪を一面平たく並べていた。見たことのない、珍しい光景だ。

パレットの高さ分、地面からの湿気をある程度回避できると思うが、それでも位置が低すぎる。

薪には満遍なく日光が当たるのかもしれないが、これが一体どんな乾燥具合になるのか聞いてみたい。

業務用薪の需要

今回の視察先は、遠野市にある「MG企画」という会社。

主に都心に向けて、業務用の薪の販売をしているそうだ。

そしてそのほとんどが「ピザ店」向け。

都心のお店は薪の置き場所に制限がある。そこで卸問屋さんの登場。

東京と神奈川に1か所ずつ存在し、そこが手配りで、必要量をピザ屋に配達しているそうだ。

この需要が大きく、まだまだ生産が追い付かない状態らしい。

必要な時に必要な分を届け、そしてクレームの対応もしてくれる卸問屋の存在は大きいらしい。

そのよくあるクレームが、

  • 薪についた虫。(カメムシの付着、穿孔虫の羽化など)
  • 品質、量

だそうだ。山間地域にとっては大きなビジネスチャンスだが、都会の環境とお客さんのニーズにどれだけ応えることができるのかが鍵となりそうだ。

薪の製造(手数を如何に抑えるか)

ナラ原木

扱う樹種は100%ナラ。

「薪=ナラ」の印象が根付いているから、単純にそれに応えているらしい。

こういった原木を安定的に供給できる背景には、その地域の森林資源によるものだからである。

遠野市もまた、昔からの「薪炭林」が広く分布しており、30年くらいで循環できる狙い通りの森林が数多く残る。

そして、その生産を長年行ってきた「業者」の存在もとても大きいだろう。


Hakki Pilke
PLOW 高速薪割機

薪割機は、計3台所有されていた。

1台目は、確かフィンランド製の「Hakki Pilke(ハッキピルケ)」。

トコロテンのように押し出し、ベルトコンベヤーで次々と流す半自動の薪割機。

私も以前に導入を検討したことがあったが、実機をみてあらためて魅力的だなぁと感じた。

ただし、本体だけで400万以上、オプションでプラス200~300万はするだろうか。

薪の生産性は向上するが、需要が見込めなければ投資出来ないよなあと、そんな感じで当時断念した。

2、3台目は、PLOWの2台。

画面左側のPH-DDP20C。

高速割りタイプで、そのサイクルタイムはなんと4秒。

速すぎて危ないんじゃないか、一人でやるには対応しきれない、

そんな理由で、こちらも購入をやめた。

ちなみに、その代わりに購入したのが、コチラ(以前のブログ→薪割機を購入・プラウGLS12を使ってみた

ここでは、Hakki Pilkeで丸太から割ったものを、この「高速機」で再度、注文に応じたサイズに小割していた。

なるほど。それだったら最適かも。

丸太からだと負荷が掛かり過ぎて危ないかな?と感じていたが、要は使い方次第ってことだ。


もう一台の画面右側PH-GLS20B。はじめて拝見させてもらったが、とても良さそう!

検討時は動画などをみてとても悩んだが、どうも当時パワーがないように思えていた。

それに往復割りができるということで、基本的に作業は2人体制の機械だと思ったのも断念した理由のひとつだった。

でも実際をみる限り、サイクルタイムもほど良くストレスない感じで、パワーも全然申し分なさそう。

今後機会があれば、こちらを購入するかも!

薪の乾燥は「風」が大事

割った薪はビニールハウスのなかで乾燥させていた。

遠野市もまた積雪地なので、冬季間に外に置いておいてもなかなか乾かない。

ビニールハウス内で雪雨を避け、下側を少し開けて風通しを良くしていた。

そう、これが一番ベストな環境だ!

気温より風通しが大事だと思う。

これは私も実証済みだから自信を持って言える。

ご年配の地元の方が、あらかじめ輪にした番線に薪を詰め込んでいる様子。

出荷前の大切な作業だ。

都心の卸問屋には大型車で出荷する。

この1束のサイズは、長さ48cmと36cmの2種類。番線の長さは70cm。これが1束。

1パレットには80~100束、それが大型車に16パレット。MAX1600束/台だ。

ちなみに1束あたりの販売価格は卸問屋しかわからない。

参考小売りで440円とか、550円とか。様々である。

あらため薪ビジネスの可能性を感じた。

需要があっても供給不足。それでいて、山村地域には木が有り余っている。

都心のお客さんのニーズを我々がきちんと捉えることができるのか。

そして手数を如何にカバーしながら、双方、WinWinな関係を続けていけるか。

可能性がいっぱい、課題もいっぱい。

とても有意義な視察となった。今後に活かしていきたいっ!

ちなみに、まだ何も出来てはいないんだけど、次回、私のところでの視察が決まってしまった。。。

良い機会だと思って頑張っていきたい。(大丈夫かー?)

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