馬肉で予祝

日々のこと

 週明けから4週間ほど入院する義父を励まそうと、義父の大好物「馬肉」を仕入れて妻の実家に向かった。

 馬ということで少し脱線すると、昔糠部と呼ばれたこの北奥羽地方は軍馬生産が盛んだった。その棚のある牧場に平泉から近い順に番号が振られたそうだ。だから例えば八戸は八番目の牧場。そのため現在でも馬肉を食す文化が根付いている。特に五戸町にある馬肉店は評判で、我が家も時折楽しませてもらっている。

 長野県の伊那地方でも農耕馬だった馬を食す文化が残っているが、私の実家は北部にあったので今まで食す機会はあまりなかった。五戸町の馬肉をはじめて食べた時、あっさりとした食感と味噌ベースの鍋ダレがベストにマッチしていて、本当に美味い!遠方のお客さんが来た時などいつもご案内している。

 馬ついでに林業的な視点で地域のことを考える。高く険しい奥羽山脈を境に、太平洋側の北上山地は比較的緩やかな地形なため、古くから山地で放牧が行われていた。また、たたら製鉄や製塩など木炭採取による森林の利用が盛んだったため、森林は変化に富んでいて、太平洋気候の影響とともに樹種が豊富とされている。やや教科書的ではあるが、実際急峻な他地域の森林を目にする度に、この地域の森林が如何に恵まれているのかといつも考えさせられる。

 森林だけでなく海も近いこの地域の自然にあらためて感謝したい気持ちになる。そんな思いを募らせながら美味しい馬肉鍋を頂いた。「元気になって退院してくること」を先に祝う「予祝」が、元気に励ます我が家のスタイル。

 「退院したら馬肉店に行こう」と義父と約束した。

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