昨日、とある林業の団体が主催した勉強会に参加してきた。
その時の話題の中心がロシア材ストップによる林業・木材産業に与える影響。
昨年から今なお続く「ウッドショック」に追い打ちをかける形で、今後、どういった見通しになっていくかを考える機会となった。
ウッドショックが川下に与えた影響
ウッドショックを「外材不足」と「価格高騰」とに整理する。
まず外材不足となれば、今後国産材の需要が高まることが必至。
そして「価格高騰」では、林野庁のデータによれば製材品の輸入単価がほぼ倍となっており、現在も高止まりが続いている。
業界の皆さんは「いつ値下がりするのか?」を危惧しているのだが、日本向けのコンテナ運賃が高騰しており、また円安の影響なども考慮すると、今後すぐに木材価格が下がるということは考え難い。
では実際には今、何が不足しているのか、そして代替えの国産材需要は何にあたるのか?以下に挙げてみる。
- ベイマツ主体の梁桁材 → カラマツ、スギの集成材
- ディメンションランバー(2×4材) → スギ
- 小割材 → スギ、アカマツのKD材
- 造作材 → 高齢スギ材
- 広葉樹 → 抜本的な国産材強化
などが挙げられる。
ロシア材ストップの影響
ロシア材ストップの直接的な影響は、合板に使われていた「単板」。
合板はフェイスバックといって、丸太をカツラ剥きした単板を表面(フェイス)と裏面(バック)に使用するのだが、それを一定量、ロシア産に頼っていたらしい。
強度面を考えても代替できる国産樹種となれば、カラマツしか考えられない。
しかし、このカラマツ資源が問題。
産地として、北海道と長野県が挙げられるが、そもそも北海道は今までも伐りすぎなんだそう。長野は生産そのものが未成熟なんだとか。
そうなると、期待されるのが岩手や青森を中心とした東北。当地には纏まった林地が少ないが、それなりに素材の確保を進めてはいる。
もう一つ、ロシア材ストップの影響は、日本が輸入してきたEU材だ。
EUも一定量のロシア材を輸入していた分を考えると、主な輸出先だった中国や日本への影響は必至だろう。
ということは、今後ますますの国産材需要が高まるのは間違いない!いや、もう国産材しかない!というべきか。
今後の対策
林野庁は、国産材への転換に伴う原木・製品の運搬や一時保管、設計・施工方法の導入と普及を支援する「国産材転換支援緊急対策事業」を予算化した。
これは確かに日本の林業界にとってはチャンスかもしれない。
しかし、林業現場に従事する私からすると、「そんな一気に増産するなんてムリ!」が回答だ。
人も機械も限りがある。いきなり需要が高まったからといって、すぐに増産できる筈もない。増して、無理な増産をしようものなら、皆伐が更に広がり、今でも再造林が追い付かない状態なのに、これ以上の伐採を進めれば、間違いなく未来に繋がるような森林の造成は難しい状態になる。
時間は掛かるが、国産材へのシフトチェンジとなれば、我が国の林業界にとっては最大のチャンスなのは間違いない!
それには、今まで以上に伐採計画を十分に練り上げ、より効率的で安全な施業を進めていかなければならない。
もちろん毎年、新規求人と機械導入も進めている。
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